東北の「食」生産の今

第002回

シーフーズあかま(宮城県塩釜市)

赤間俊介氏

三陸ブランドは世界ブランドになる―若き三代目のしたたかな野心

「赤間俊介氏」_1
赤間俊介(あかま・しゅんすけ)  シーフーズあかま代表

12月下旬、早朝6時50分、気温3度。
わかめ漁は日の出とともに一日が始まる。1本1本丁寧に収穫する若芽は1舟1時間で100㎏程度しか取れないという。「この時期だけしか食べられない『世界一早い生わかめ』の美味しさはわかめの概念を覆されますよ」そう笑うのはシーフーズあかま三代目の赤間俊介社長(33)だ。祖父、父と続く養殖、水産物加工の事業を若くして継承、次世代の漁業を担う赤間氏に、話を聞いた。

—— 家業を継ぐのは自然な成り行きだったのですか?

小さい頃から祖父や父の、海での仕事を近くで見ていましたが、本格的に手伝ったのは18歳からです。最初の仕事は配達でしたけど(笑)。大学を卒業後、そのままシーフーズあかまに就職しましたが、23歳の時に一度家を出ました。知人の店で働かせてもらったり、自分で飲食店をやったりしたんですが、24歳の時に戻ることを決心して、先代社長つまり父に頭を下げシーフーズあかまに再就職したんです。

昔は漁師は海に出ていればよかった

—— 現在は?

会社の経営はもちろん、生産管理、商品開発、営業など、必要なことはすべてやります。水産業の担い手育成や商品開発、EC販売、イベント事業を行っている一般社団法人フィッシャーマンジャパンの理事もしています。私たちは東日本大震災で、大きな被害を受けましたが、震災があったから日本中、世界中の人に三陸地方を知ってもらったのも事実。今こそ絶好のチャンスなんです。昔は、漁師は海にでていればよかったけど、これからの漁師は市場ニーズを汲み取り、それに答えていくことが必要。自社だけ儲かればという利己的な考え方もダメ。産業間、企業間、地域間がボーダレスに連携をとり、足りないものを補完しあって初めて、三陸ブランドは世界的ブランドになると考えています。

世界ブランドか、地産地消か

—— 目指すは?

世界的ブランドとは言ってみたものの、課題は足元に山積み。逆説的だけど、まず『地産地消』をコミュニティーに根付く産業としてさらに進化させることが必要だと考えています。そのためには、生産者、卸、小売店、お客様が1つになって取り組む必要がある。つまり、生産者としては生産調整や大量廃棄している現実を変えていくべきだし、消費者としては四六時中どこでも購入できるという幻想から目を覚まさなければ健全に産業が育っていかない。生産者や産地との乖離、物流の安さが生む犠牲を見直していくことが必要だと思っています。

—— 最後に『ランメシ!』について

生産者がお客様にダイレクトに食を提供できるこういった機会はとてもありがたいです。今後もお客様の顔が見える活動を積極的に行って食の魅力を伝えていきたいです。

その他の特集インタビュー

第001回 伊豆沼農産(宮城県登米市)伊藤秀雄氏
第002回 シーフーズあかま(宮城県塩釜市)赤間俊介氏
第003回 ももがある(福島県福島市)古関弘子氏

東北グルメ勢揃いのエイドステーションと
同時開催「東北日本酒フェスティバル」で大好評!

2017.3.18 Sat. - 2017.3.20 Mon.

メイン会場
宮城県登米市長沼ボート場
(長沼フートピア公園)

ランメシ!東北風土(Tohoku FOOD)は、
復興庁「新しい東北情報発信事業」の採択事業です。

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